碧海特許事務所
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意匠及び意匠権について
 意匠法は、「意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠の創作を奨励し、もって産業の発達に寄与する」ことを目的としています。そして、意匠法において、「意匠とは、物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と定義されています。
 そして、意匠は物品の美的外観であるため、一見して識別することができるため模倣が容易であり、流行に左右されやすいという特徴があります。そこで、意匠登録の要件は、この意匠の特徴を考慮して規定されています。
  
意匠登録の要件
(1)意匠法上の意匠であること
 意匠法上の意匠とは物品の美的外観を指します。よって、物品によって表示される画面デザインは物品の部分の形状又は模様として保護の対象となる場合がありますが、外部から見えない物品の内部の構造は保護の対象とはなりません。
(2)工業上利用できる意匠であること
 工業上利用できるとは、同一物を量産できることを云います。絵画や彫刻のような一品製作の美術分野の著作物は、意匠登録の対象とはなりません。なお、著作物は著作権により保護されます。
(3)新規性を有すること
 意匠の創作を保護する趣旨からは、出願前に同一又は類似の意匠が知られていないことが必要です。しかし、意匠は流行性があるので売れ行きの打診を図るために見本の展示や配布を行うことも必要です。
 そこで、物品の販売等により意匠の新規性を失ってしまった場合でも、新規性を失ってから6月以内に出願すれば、新規性を失わなかったものとして扱う(新規性喪失の例外)規定があります。
(4)創作非容易であること
 既に知られている意匠等から容易に創作することができる創作性の低い意匠は保護価値がありません。また、創作性の低い意匠を保護すると、権利が乱立して、他人の実施を不当に制限することになり、かえって産業の発達を阻害してしまいます。そこで、登録要件として創作非容易であることが規定されています。
(5)不登録事由に該当しないこと
 不登録事由(公益的理由から登録を受けることができない意匠が規定されています)に該当しないことが必要です。公序良俗を害するおそれがある意匠等が不登録事由に該当します。
(6)先願であること
 同一又は類似の意匠について二以上の出願があった場合は、最先の意匠登録出願人の出願のみが登録となります。